大会長挨拶

第46回医療情報学連合大会開催にあたって

第46回医療情報学連合大会
大会長 渡邉 直
医療情報システム開発センター 顧問
第二川崎幸クリニック 循環器内科部長・副院長

第46回医療情報学連合大会のホームページにようこそ。
秋の札幌で皆様にお会いできること、楽しみにしております。

大会のテーマは、「健康情報の適切・適時・容易な共有を」です。
2030年に本格実装が企図されている全国医療情報プラットフォームに向けて、医療情報の羅針盤を示せる場としたいという抱負のもと、プログラム委員長に千葉大学の土井俊祐先生をお迎えし、実行委員長は、2020年の春季学術大会(初めての完全web開催となりました)の運営に実力を発揮された、関東医療情報技師会世話人・東京医科大学の紫藤秀文先生にお願いいたしました。私どもが関東在住にて、札幌部隊として取組みを統括いただくべく、総務委員長として北海道科学大学の谷川琢海先生に就任いただきました。事務局長は北海道情報大学の佐瀬雄治先生です。

テーマを「医療情報の…」とせず「健康情報の…」としたことには、それなりの思いがあります。
私の肩書を医療情報システム開発センター、とのみせずに、クリニックの循環器部長、とも記載したのは、あくまでもフルの常勤臨床医として、情報ユーザーの立場から医療情報を見つめる位置づけの堅持の表明です。人を診療するということが、どのような専門科・職種であったにしても、包括的な患者の把握に基づいて実践されるものであること、まさしくPOS(問題志向型システム)の創始者、Lawrence L.Weed博士が「診療は患者の問題を上手にリストアップするところから始めなければならない。」と述べた診療の基本を踏まえ、そのための情報収集が要求されるという認識を強調したいのです。当然、人の健康情報としては狭義の医療情報のみでは不十分であり、生活機能や性向、広くは役割や人としての志向の情報も含まれなければならない。そうした包括的な情報の、何を捉えて健康管理提供をするべきなのか、この「何を」に力点を置いた検討を、ともすれば「どのように」の議論に終始しがちな医療情報学内に持ち込みたい、その思いを、一介の臨床医として保持しつつこの集会を構築してゆく所存です。

包括的な健康情報として、何を適切に把握すべきか。そして、多くのヘルスプロバイダーの関与、多施設での協働管理が必須である中で、それをどのように共有したらよいか。「何を」を基軸としつつ、そのために「どのように」適時的に伝達できるか、高度化する医療内容にもかかわらず人員縮小の方向性が見える中、それを、生成AIも駆使しつつ、どのように容易化してゆくべきなのか…こうしたベクトルを定めた中での議論の展開を楽しみにしています。

札幌の11月中旬は初冬ではありますが、あくまで麗しい街です。ヴァーチャルな集会でも情報の獲得は可能ですが、やはり皆が集い、議論し検討すること、また同時に直接の出会いや語らいで交流を構築し、深めることも大切ですね。その場として、この地はうってつけです。お待ちしています!